それゆけ!石油探検隊

石油から作られる化粧品

俗に「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら歴史は変わっていただろう」といいます。
史実や史料を紐解けば、クレオパトラは後世に語り継がれるほどの美貌ではなかったといいます。
しかし、そんなクレオパトラを絶世の美女として名を残させたのは化粧の力によるものなのです。そして、現代の化粧は石油化学の力によって支えられているのです。

石油と化粧の関係

石油と化粧の関係

現代の肌につける化粧品のほとんどは、石油化学の恩恵によって生み出された成分が使われているといわれています。
中には天然成分にこだわり抜いた化粧品もありますが、高級化粧品でも低価格化粧品でも石油由来成分が含まれているのです。


石油化学の無い時代の化粧品とは

無添加・天然素材を謳う化粧品の中には「石油が使われていなかった時代のような天然成分」のように、石油由来成分を否定する売り文句が並べられているものもあります。
では、本当に石油由来成分の使われていなかった時代の化粧品は、身体に良い天然素材だけが使われていたのでしょうか?

もっと危険だったかもしれない

昔の化粧品 アイラインはクレオパトラも使用していた化粧品として知られていますが、当時のアイラインのほとんどがラピスラズリなどの鉱物を粉砕したものを塗っていました。
日本などでも化粧は「命の色」である赤を身につけるために盛んに行われていましたが、この赤色の元になったのは現代で言う硫化水銀でした。時代は流れて江戸時代に入ると、京都で作られた白粉が女性たちに高い人気を得ていましたが、この白粉の原料となっていたのは鉛を精製した、現代では油絵に使われる鉛白でした。
口紅はベニバナから取った天然顔料を使用していたのですが、ほとんどの化粧品は鉱物由来のものだったのです。

天然成分は本当に安全か?

このような事実があっても「そんなことはない! 私は天然素材しか使わないんだぞ!」という人も居るでしょう。しかし、天然成分の全てが無害と言うわけではありません。天然ゴムであるラテックスは一種のアレルゲンであることが知られています。
「天然成分を使っているから安心・安全」ではなく「自分にとって安心・安全である成分のひとつが天然成分」なのです。無条件に「天然由来」を信用するのではなく、自分と相性がいいものを選び出すことこそが本当の化粧品選びの姿勢であるといえます。

石油由来成分の安全性

そもそも、本当に石油由来成分は危険なのでしょうか? 化粧品やシャンプーなどの肌につけて使うものは、全て「薬事法」の範疇でその安全性が検証されます。安全性が確認できなかった製品は販売許可が下りず、市場に出回ることはありません。
これは、前述の鉛白白粉で鉛中毒が多発した教訓に基づいているのです。つまり、「市場に存在している石油由来成分を使用している化粧品は安全性テストをクリアしている」と考えるべきでしょう。
中には、「石油は古代の生物から生み出された天然成分」という人もいますが、そもそも石油の成因に有機由来説と無機由来説があることだとか、化学的に突き詰めて言えば天然成分も石油由来成分も同じ原子の集まりじゃないかとか穴のありすぎる理屈なので、結局は自分で試して自分が信じられるものを使うのが一番なのです。

石油由来の化粧品の成分を知る!

石油由来の化粧品の成分を知る!

では、石油由来の成分にはどのようなものがあるのでしょうか?


グリセリン

グリセリンは手作り石鹸などにも必要な成分として知られています。実はグリセリンは、植物油を分解して精製する方法と、石油パラフィンから分解して生成する方法によって生産されています。

エーテル類

化粧水や乳液、ジメチルエーテルやエタノールは、近年バイオマス燃料として注目を浴びていますが石油から作ることが出来ます。

グリコール類

保湿剤や乳化剤として含有されるBG・PG・PEGと表記された成分は、全て石油由来成分です。それぞれ「1.3-ブチレングリコール」「プロビレングリコール」「ポリエチレングリコール」の略称です。これらのグリコール類はプラスチックの原料として使用されることもあります。

界面活性剤

水と油を融和させる役割を持っている界面活性剤の中には、石油由来の原料から作り出されたものあります。界面活性剤はシャンプーや石鹸などに含まれています。

タール色素

口紅などの色を決定するタール色素もまた、石油由来成分です。かつてはコールタールから合成されていたので「タール色素」と呼ばれていますが、現在はナフサから蒸留精製された成分を合成して作られています。タール色素は、食用の着色料としても使用されています。