それゆけ!石油探検隊

プラスチック

日常生活で使用する生活必需品や家具、家電製品を改めて見回してみると様々な形でプラスチックが使用されていることに気づきます。
プラスチックは、金属よりも柔らかく木材よりも耐久性がある素材として、発明と同時に需要を増大させていきました。
そんなプラスチックの特徴や種類について解説していきます!

プラスチックの基礎知識

プラスチックの基礎知識

プラスチックは日本語では「合成樹脂」となります。この「樹脂」というのは木などの植物の幹から取れる樹液を加工して固めたものです。

代表的な樹脂である松脂は触るとねばねばと指についてしまいますが、乾燥した状態ではねばねばした感じが表面からなくなって自由に変形します。このような樹脂の性質を人工的に再現したものが合成樹脂なのです。

プラスチックの秘密

プラスチックは、柔軟性と硬さを併せ持った素材です。木材や金属では出せない、独特の質感と強度はその分子構造にあります。全ての物質は原子が組み合わさった分子によって構成されていますが、プラスチックは炭素を中心とした非常に長い分子から成り立っています。このように長く巨大な分子を「高分子」と呼びます。

プラスチックの場合、この高分子が格子状・網の目状に組み合わさり強力に結びついています。このような状態の高分子を「重合体(ポリマー)」と呼びます。このポリマー構造になった分子構造こそが、プラスチックの性質を生み出しているのです。

プラスチック研究の歩み

実はプラスチックが歴史の中に登場してから、まだ200年も経っていません。割合歴史の新しい物質であるといえるのですが、その200年足らずの間にプラスチックは様々な用途に用いられてきているのです。
プラスチックの原形となる塩化ビニルが発見・発明されたのは1835年、石油が最初に工業的に採掘されたのが1859年のことなので、石油が主流になる以前は石炭や石炭から抽出できるコールタールを原料とする研究が行われていたのです。
プラスチックの開発が進展するのはさらに先の20世紀初頭からになります。

プラスチック以前の合成樹脂

では、石油由来のプラスチックが発明される以前にはどのような合成樹脂があったのでしょうか。
石油が工業的に採掘されるようになる以前は、糖類の一種であるセルロースに硝酸・硫酸を加えて生成した火薬の一種であるニトロセルロースを加工したものが合成樹脂の中心となっていました。ニトロセルロースから合成された合成樹脂にはセルロイド、人工繊維にはレーヨンがあります。
ただ、セルロイドにしてもレーヨンにしても原料であるニトロセルロースの持つ強い可燃性を受け継いでいるという欠点があります。その可燃性はプラスチックよりも強くて危険なものです。これらの合成樹脂・人工繊維は石油由来のプラスチックや合成繊維の登場によってその役割を縮小させていったのです。

プラスチックの原料となる石油製品は?

プラスチックの製造に使われる石油製品には、ナフサがあります。
ナフサは蒸留することで成分を分解することが出来て、その成分のほとんどはプラスチックの原料として使うことが出来るものなのです。ナフサは燃料用途でも使用されますが、日本に輸入されるナフサの大半はプラスチックの製造に使用されています。

プラスチックの種類を知る!

プラスチックの種類を知る!

では、石油由来のプラスチックにはどのようなものがあるのでしょうか?
主なプラスチックを紹介していきます。


ポリ塩化ビニル

いわゆるビニール袋は、ポリ塩化ビニル(塩ビ)が材料に使われていたことからきています。ポリ塩化ビニルは、ナフサから分留されるエチレンと塩素が化合して生成される塩化ビニルを重合させて作り出されたプラスチックです。
ポリ塩化ビニルはビニール袋だけでなく、「塩ビ人形」と呼ばれたおもちゃや消しゴムの材料としても使われていましたが、環境ホルモン問題で姿を消しつつあります。

ポリエチレン

ポリエチレンは、ナフサから分留したエチレンガスを特定の条件下で重合させて得られるプラスチックです。かつては高圧下でなければ生成できなかったのですがチーグラー・ナッタ触媒の発見によって低圧下で生成することが可能となりました。
ポリエチレンは、ポリ塩化ビニルに変わって袋やバケツなどのポリ容器の材料として使われています。

ポリプロピレン

ポリプロピレンは、ナフサから分留されるプロピレンガスを重合して生成されるプラスチックです。 ポリプロピレンは、元々化学繊維として開発されましたが衣類に向いていない性質を持っていたので、化学樹脂として使用されるようになりました。
ポリプロピレンは、スナック菓子の袋や包装容器などに使用されています。

ポリスチレン

ポリスチレンは、エチルベンゼンを脱水素して生成したスチレンをラジカル重合させて得られるプラスチックです。ラジカル重合というのは、要するに「対称ではない状態で重合している」と考えて下さい。
スチレンの原料となるエチルベンゼンはナフサから分留されるエチレンとベンゼンの化合によって得られます。ポリスチレンは発泡スチロールの原料やプラモデルの原料として使用されています。

ポリエチレンテレフタラート

ポリエチレンテレフタラートは、ポリエステルの一種です。ポリエステルは石油から抽出精製されるジオール成分とジカルボン酸成分を「−CO−O−」で表されるエステル結合という化学反応で結合させたプラスチックです。
ポリエステルの中でも、エステルグリコールとテレフタル酸を使用したものを「ポリエチレンテレフタラート」と呼び、頭文字を並べたPET素材の通称で、ペットボトルやフリースの原料として使用されています。

ABS樹脂

ABS樹脂はナフサから得られるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンを重合反応させて得られるプラスチックです。原料であるAcrylonitrile・Butadiene・Styreneの頭文字を取って名づけられました。ABS樹脂は衝撃に強く、家具や家電製品の外装などに使用されています。

プラスチックの注意点

プラスチックの注意点

プラスチックは利点ばかりが目立ちますが、確実に欠点も存在しています。
そういった利点・欠点を含めた性質を理解することが、プラスチックの賢い利用に繋がっていくのです。


プラスチックは熱に弱い

プラスチックは、火元に近づけると変形してしまいます。セルロイドなどのように急速に燃え上がるというわけではなく、ドロドロに溶解していくように変形するのです。プラスチック製品はあまり火元に近づけたり高温になる部屋に置いたりしないようにしましょう。

プラスチックは電気を通さない

プラスチックのほとんどは電気を通さない絶縁体です。しかし電気を通さないということは、静電気を帯びやすいということでもあります。そのため、空気中の埃を吸いつけてしまうことがしばしばあります。帯電体質の人は、静電気を逃がしてから触れるようにしましょう。

プラスチックは自然では分解されない

プラスチックは化学的に合成された物質なので、木材のように自然の中ではほとんど分解されることはありません。そのため、ビニール袋などのプラスチック製品を野生動物が誤飲してしまうケースが発生してしまうことがあります。
近年は環境を考えた植物性の生分解型プラスチックを使用した製品が登場しています。これは、微生物の働きで分解されるプラスチックなのですが、保存性が悪いという弱点を持っています。