それゆけ!石油探検隊

石油資源の枯渇問題

全ての資源には必ず限りがあります。
例えば牛肉を資源としてみた場合、地球上の「ウシ」に分類される哺乳類の全てが牛肉資源で、一頭も残さずに食べてしまえばそこで牛肉資源は終わりです。
無限のように思える太陽エネルギーも、あと50億年後ほど未来には太陽系もろともになくなってしまいます。全てのものには必ず限りがあるのです。

石油が無くなる日はいつ来るのか

ルーマニアのモレニ油田

石油も、いつか必ず無くなる日が来る物質です。エネルギー資源や工業原料として石油に依存しきっている現代文明にとって、石油の枯渇は最優先事項であると言っても過言ではありません。

現在も開発の進んでいる油田は多数ありますが、それは全て地質学などの蓄積されたデータから見つけられたもので、「油田がある可能性を持つ土地」はどんどんと少なくなっているのです。

石油が使える期限は定まっていない

「石油資源がいつまで使えるか」という目安を「石油可採年数」といいます。この石油可採年数は、世界最初の油田が掘り当てられた時に決まったと言うものではありません。いくつかの要素が複合的に絡んで決定される性質のものなのです。
数学で言うと変数なのです。この石油可採年数と言う変数を決定する要素は次の三つになります。

稼働中の油田の推定埋蔵量

現在、原油が掘り出されている油田は大小含めて2〜3000は下らないと言われています。推定埋蔵量はこれらの油田のある地形や地層の形質、現在の掘削技術で掘り出せる量などのデータから推測されるため、変動することがあります。

未採掘の油田とその推定埋蔵量

地球上に存在すると考えられている油田の数は、約4万ヶ所あると言われています。その半分以上が既に採掘されているとした場合、未採掘の油田があると思われる場所の地形や地質を材料にして推測していきます。未採掘なので、推測は外れる可能性が高くなっています。

採掘技術の革新による採取量の増大

昔の油田は、気圧で吹き上がってくる分の原油を採掘した時点で油田としての価値を失うものでした。現代では、原油とともに吹き上がった地下水や天然ガスを油田に戻して圧力を戻して残っている原油を取り出す「二次回収」という技術の確立によって、採取量を大幅に向上させています。
今後、「三次回収」の技術が確立すればさらに採取量は拡大することもあるのです。

石油可採年数は希望年数である

これらの要素を見る限り、およそ「希望的観測」と言う言葉とは無縁のものはありません。「もしかしたらもっと掘れるかもしれない」「もしかしたらもっと量があるかもしれない」「もしかしたらもっと技術が発達して採取できる量が増えるかもしれない」という、希望が透けて見えるものです。

これらの希望を抱いているのは、石油可採年数を計算している学者と石油企業、石油を使う立場にある者と石油に関わるもの全てだと言ってもいいのです。つまり、石油可採年数とは「〜年後まで掘り出せるといいなあ」という希望なのです。

現時点での石油可採年数は?

現在の時点で考えられている石油可採年数は、「47年前後」というところです。30年ほど前の第一次オイルショックの時点では、「可採年数はあと30年」と言われていたものの、開発技術の向上による海底油田の開発や二次回収技術の確立などで、採取量が増えたことが背景にあります。
ただ、30年前から言われていた説に「オイルピーク」があります。「現時点が石油の採取量のピークで、後はどんどん減少傾向になっていく」というものです。このオイルピーク説がいつ現実のものになるかわからない、という不安を石油業界は常に抱いているのは確かなことです。

石油を作り出す方法とは?

石油を作り出す方法とは?

ギロチンの露と消えたマリー・アントワネットは食糧不足の国民に対して「パンがないのならケーキを食べればいいじゃない」と言った、と伝えられています。

しかし、これは脚色によるもので、当時のフランスには「パンが不足したらブリオッシュ(お菓子の一種)をパンの価格で提供せよ」という法律があったと言います。
日本にも「貧乏人は麦を食え」と言った政治家が居ますが、「米のように麦を炊いて食べたほうが栄養バランスもよく、なおかつ米より安いのだ」という意味にも取ることが出来ます。
つまり、「石油が無くなるというのなら作ればいいじゃない」と言うことなのです。

石油原料のプラスチックから石油を作り出す

現在使われているプラスチック製品の大半は石油を原料としています。中にはトウモロコシの芯などのバイオマス資源から作られた生分解性プラスチックなどもありますが、石油原料のものがプラスチック需要を支えていると言っても過言ではありません。

使用済みのプラスチックは再びプラスチックにリサイクルするか、燃料として使用されるかという再利用方法しか存在していませんでした。もしも、元の石油に戻せれば資源の有効利用が出来ると考える人も多いはずです。
現在、プラスチックを石油に変換する技術は研究途上で、ゴミとして廃棄される全てのプラスチック製品をリサイクルするまでには至っていませんが、一部で実用化されています。

石炭を石油に変換する

石炭は石油にエネルギー資源の主流の座を奪われてからは、途上国などで細々と使用される程度になっていました。そのため、可採年数は石油の約三倍の154年前後となっています。
そして、石炭と石油の主成分は炭化水素です。石炭を石油に変換することが出来れば、石油の可採年数は一気に四倍になると言うことはもう言うまでもないでしょう。そう考えたのが第二次世界大戦中のドイツと日本だったのです。

当時のドイツは、イギリスなどから石油を取引していたのですが、自国に油田を持たないため開戦と同時に石油資源が絶たれてしまったのです。当時の日本には油田があったものの、石油の生産量が需要量に見合わない状態でした。そこで開発されたのが「フィッシャー・トロプシュ法」です。このフィッシャー・トロプシュ法は、一酸化炭素と水素を化合させて液化した炭化水素を得るという技術で天然ガスや石炭から石油を得る手段なのです。
フィッシャー・トロプシュ法を開発したドイツは、石炭から製造した人造石油によって必要量を賄うことに成功し、当時の同盟国であった日本にも技術提携が行われたのですが、日本の人造石油計画は成功せず松の木の根から取った松根油などの代替燃料に頼らざるを得ませんでした。
これは、フィッシャー・トロプシュ法の開発元がアメリカの石油メジャーに技術パテントを提供する契約を結んでいたためと言われています。現代では、石油資源に乏しい南アフリカなどで人造石油の製造が行われています。

オイルサンド・オイルシェールを利用する

自然界に存在する石油は固い岩盤のある地層の中に埋蔵されているものだけではありません。現代使われている石油は、「人間が使いやすい石油」なのです。一般に「オイルサンド」「オイルシェール」と呼ばれる岩石には、石油の一種が含まれています。

オイルサンドやオイルシェールから石油を抽出することは可能なのですが、加工コストが油田産出の原油よりも高くつくためこれまで省みられてこなかったのです。このオイルサンド・オイルシェールから採れるとされる石油の推定埋蔵量は、油田の五倍に相当すると考えられています。
しかし、石油を抽出した後に残る大量の砂の処理などが課題となっています。

微生物を利用する

生物には天然ガスの主成分であるメタンガスを生成する能力があります。また、石油有機由来説の補足材料として微生物の力によって石油が生成されるという説があります。このため、「石油を作り出す微生物」の発見はエネルギー資源戦略と言う観点からも重要課題として、長年研究が続けられてきました。

その結果、ついに石油を生成する能力を持った微生物が発見されました。それが「ボツリオコッカス」と「シュードコリシスティス」です。ボツリオコッカスとシュードコリシスティスは、光合成を行うことでたんぱく質と石油を作りだす性質を持っているのです。ボツリオコッカスは重油を、シュードコリシスティスは軽油を生み出し、体内に蓄積します。
適切な栄養と環境を整えれば、微生物は人為的に培養することが可能です。ボツリオコッカスとシュードコリシスティスは、新しい石油資源として研究が進められています。